ミスティ ムーン=静かなる調べ=
「義母様。そのようなこと……すぐにレスキューが来て、どうにかしてくれますわ」
「あなた……ここはとにかく体温を保たねば、この子はまだ九歳よ」
窓のスキマから暖かなストールが入ってきた。
そのときボクはママの、叫びのような泣き声を耳にした。
きっといろんなことが去来したのだろう。
完全にパニックだ。
これまでのことが、ママを打ちのめし、追い詰めてしまったのだ。
あんな凍るような寒さと、仲の善くないパパのママと一緒になって、ボクを助けてくれようとしていた。
そのことは感謝しても未だ足りない。
だけどあんな告白を聞きたかったわけじゃあなかったんだ。
「ああ、あたくしは誰かのためにでなく自分のためだけに生きてきた。キャリア?! そんなもの! 今この子を助けられずに何が! 」
(ママ、ボクは不幸じゃないよ。ママがいてくれる。それだけで、がんばれる気がするんだ)
「ママ、ママ、ボク大丈夫だよ。だから……」
(泣かないで――)
そう言いたかったのに。
涙があふれて、しゃっくりが止まらなかった。
「あなた……ここはとにかく体温を保たねば、この子はまだ九歳よ」
窓のスキマから暖かなストールが入ってきた。
そのときボクはママの、叫びのような泣き声を耳にした。
きっといろんなことが去来したのだろう。
完全にパニックだ。
これまでのことが、ママを打ちのめし、追い詰めてしまったのだ。
あんな凍るような寒さと、仲の善くないパパのママと一緒になって、ボクを助けてくれようとしていた。
そのことは感謝しても未だ足りない。
だけどあんな告白を聞きたかったわけじゃあなかったんだ。
「ああ、あたくしは誰かのためにでなく自分のためだけに生きてきた。キャリア?! そんなもの! 今この子を助けられずに何が! 」
(ママ、ボクは不幸じゃないよ。ママがいてくれる。それだけで、がんばれる気がするんだ)
「ママ、ママ、ボク大丈夫だよ。だから……」
(泣かないで――)
そう言いたかったのに。
涙があふれて、しゃっくりが止まらなかった。