ライフ オア デスティニー



「いつか来ると思っていた。銃をとり、刀や剣で戦い、勝った者だけが物資を得、生きる権利を得るときが。辛い時代になるだろう」



「だけどエヴがいる」



 真剣な目に心を吸い込まれそうに見入って、語り部は沈黙した。



「そうだ、エヴがいる」



 だれかが衝動的に叫んだ。



「僕たちもエヴの下で戦うよ。きっと大きくなったら」



「エヴと共に戦うよ。たぶん、いまだってそうできるはずなのにどっかでちがっちゃって、ここにいる。そう、まちがいなんだよ。まちがいないんだ、まちがってここにいるんだ、それだけはまちっがいない!」



「おまえさん達にはわからない。まだまだこの世の理を知らない。年長の者は、もうすぐ翼が生えて、数多の戦士たちに出会うだろう」



 オン爺は大きくため息した。それがあまりにも大きく、長かったので子供らはオン爺がすっかり石にでもなってしまったのかと心配そうに見た。



「そのとき、戦士には最大限の礼儀を尽くせ。今はわからずともいずれは。そして決して彼らを見損なうな。自らも武器を放すな」






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