ライフ オア デスティニー



「オン爺、そんなこといやだよ。エヴならこういうと思うな『戦いのための戦いはいらない。きっと手を結んでゆける方法がある。それをみんなで探そう』って。そうしたら、きっとみんな、ゆたかになるんでしょう?」
 


 くりくりした目を仲間の上に注ぎ、見渡して、その子は言った、少し、心配そうに。



「ゆたかっていうのは僕はわからないけど、わからないことをいう僕はヘンな子なのかな」



 語り部は目をむいた。



「い、一体どこでそんなことを聞いてきたのだ。それはな、大きくなって、むずかしい字が読めるようになってから、学舎(まなびや)で勉強するものなのだよ。全員、その時まで無事でいられるか、それも運、だがね……」






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