ライフ オア デスティニー
飛翔~澄みきった空へ~
彼女は窓から外へ飛び出した。もうあまり時間がない。着替えも済んだし『悪魔のるつぼ』まで走り込みだ。いや、別に走らなければならないわけではない。ただ……以前、図書館で見た資料と同じ格好が恥ずかしい。
(胸がっばり開いてるし、靴、かかとが高くて歩きにくいし、飛んだらスカートの中、見えちゃいそうだし。悪魔って露出が多いわ)
フード付きのマントは背中の羽を圧迫している。恥ずかしくなくても何でも、飛んでいくことはできない。そうやって駆けてくと、出会ってしまったのである。しかたない。
これまた頓狂な格好をしている。もともと癖っ毛なのがかちかちに固められている上、えらく甘い香りがする。
「蜜蝋……ううん、蜂蜜ででも固めたの? どーかしたの?」