JEWEL BIRD【 side track line 】
 噴水の中へと顔を押し込められたにも拘わらず(カカワラズ)、うす汚れた顔。
 少年は、東洋の雰囲気を持ちながらに白人の様な鼻筋を持つ、整った顔立ちをしていた。

 二人の居るこの場所は、北米大陸の大都市。
 ロサンゼルスである。
 当時、3400万人を越えようとするロサンゼルス都市圏では、東洋人とて何等(ナンラ)珍しくは無い。

 しかしシャーリィ・ウッドソンは少年が、何処の国の血を引いているのか判断に苦しんでいる様子だった。
 この、見知らぬ少年を思う彼女は、小さい孤児院を営む女性である。
 多様な人種の特徴を引き継ぐ金髪の少年は、多くの子供達を見てきた彼女にとっても、魅惑的な存在と感じさせる趣(オモムキ)があった。
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