JEWEL BIRD【 side track line 】
 
 心配そうに女の子を見詰める少年は、周囲を見渡して道行く人々へと救いを欲する眼差しを向ける。

 大人とは無関心な生き物だ。
 声をかけるでも、心配するそぶりをする訳でも無い。

 しゃがみ込んだ女の子が、より大きな声で泣き始めると男の子の耳に、聞いた事のある言葉が入る。

「 お母さん 」

「 お母さん 」
 男の子は、その言葉を知っていた。

「 お母さんって、ママの事だよね? 」

 彼はどこで覚えたのか、女の子の言った "お母さん" の意味を知っていた。
 少年の問い掛けに、ハッと驚いた様子の少女は聞き返す。

「 私の言葉 わかるの? 」
 
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