才能に目覚めた少年
「そうだろう。
だから、伊藤君を呼ぼうとしたんだ」





「なんで伊藤を…」





先生は黙ってしまった。





僕は先生を見続けた。







「この活動は『W』の最後の仕事なんだ。
世界に最後のメッセージを送るためにね」







「それでメディアで訴えていたんですか」






「そうだよ。
だが、それも叶わなかった。
世界は我々を見て、面白がるだけだ」






「…」





「神山君はこの世界をどう思うんだ」




僕は『C』のこと、ここに来るときに感じた違和感が気になっている。





「僕は今まで、世界は間違いではないと思っていました。
でも、今は違います。
言葉では言い表せないけど、間違っていると感じています」





「ほう、嬉しいことだ」





「だからといって、世界を滅ぼそうとは思いません」





「そうか。」





また先生は黙ってしまった。








「最後に一つ聞いてもいいか」
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