才能に目覚めた少年
「はるか昔、巨大な隕石が地球上に落下しました。
それにより、世界の人口がほとんど亡くなったそうです。
人類はかつてないほどの危機に追いやられたそうです。
そのときの苦労話は興味がないので知りません。
それから時が過ぎて、一人の男の子が生まれたそうです。
その子は今までの物理学を無にする力を持った子供でした。
人々はその子を神としました。
神は大きくなり二十歳になったとき、国民に言ったそうです。
『すべての者には平等に力が与えられている』
それをきっかけで人々は力の研究をして発見しました。
『才能』という力を…。
そして、現在に至ったわけです」




答えを終えると先生は表情を笑顔にして「正解です」と言った。




ありがたいことだ。

怒られるよりも褒められる方がいいに決まっている。



「神山君、席に座ってください」



僕は席に座り空を見た。



僕以外、クラスの皆は先生の方に注目していた。

先生の答えを聞いていた。

僕は聞かなかった。 




綾瀬先生が答えを言い終わると、チャイムが鳴った。

やっと三時限目の授業が終わった。

僕は急いで帰る支度をした。



「あら、帰宅するのが早いんじゃない」

隣の席の辻本アカネが話しかけてきた。

辻本アカネは高校に入ってから知り合った。
一年のときに席が隣であったことがきっかけだ。
見た目は可愛いがちょっと強気なところがある。



「今日、体調が悪いから…」



辻本は僕の方を見て笑っていた。

「あんた、いつも体調悪いじゃん」

「う、言われてみれば…」

確かに早退するたびに同じ言い訳をしていた。



「おいおい、次は能力検査じゃないか」



伊藤が辻本と僕との話に入ってきた。
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