才能に目覚めた少年
演説が終わった。




伊藤が突然手を挙げた。




雷が手から空に向けて飛んだ。



周囲の人は驚いた。




僕たちも驚いた。




周りが静かになり、伊藤は話し始めた。





「サカイさん、あなたはこの国を将来どうするつもりですか」





伊藤の言葉に皆が聴いた。





「君は組織の者か、私を殺しに来たのか」





サカイさんは焦っている。


僕が彼なら同じことをしているだろう。







「違います。
俺はただ、話を聴いてほしくて能力を使っただけで敵意はありません。
お願いです。
今、俺達と少し国についてお話ができないでしょうか」



「それなら、私の秘書を通してからにしてくれ。私は忙しいんだ」




「秘書には何度も何度も連絡をしました。
秘書に聞いてください。
大きな声で俺を怒鳴ったと思うので忘れるはずがありません」




「…そうなのか、リュウイチ」




秘書に確認をしている。



「はい、確かに毎日四六時中連絡してくるもので怒鳴りました」



真面目な秘書だ。





「そうか、すまないね。
いいだろう。
少しだけなら話をしてもいい」




大衆の前で、逃げられないことを計算した行動だ。





計算された活動だよ、伊藤…。








「さきほども言った通り、あなたはこの国を将来どうするつもりですか」







大衆が、皆が、僕がサカイさんの答えに集中した。
< 24 / 116 >

この作品をシェア

pagetop