才能に目覚めた少年
「若いのに、もう将来のことが不安なのか。
大丈夫だ。
我が国は五十年経っても世界とのバランスを変えない国であり続ける。
そのために私は日々活動している。
誰もが暮らしやすい楽園を保つために」






大衆は拍手を送った。






これは宣言だ。








僕からすると伊藤はサカイの株を上げるための活動だったんだと思ったが…。




ドンー。






また、雷が空中を飛んだ。大衆は伊藤の方を見た。







「質問を間違えました。もう一度質問してもよろしいですか」


「いいだろう。だが最後にしてくれ。私も忙しいんでね」


「はい」







伊藤は何を質問するのだろう。





「才能のあるもの、ないもの。能力者、無能者、無能力者。
『人としての価値を象徴するのが才能』という世界はいつ終わるのですか」





「何が言いたい…」





「才能が人の価値を決めるんじゃない。
人が生きながら価値を磨くんだ。
あなたは世界がおかしいと思わないのか」








「思わない。
それが世界なのだから」
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