才能に目覚めた少年
Cの拠点は僕の家だった。


学校では秘密にしており、人目を気にしない場所として僕の家が選ばれた。


鍵の隠し場所を皆に教え、いつでも入れるようにしていた。


日曜日に会議があり、活動もした。


皆はその日以外は家に来ないが、伊藤はたまに顔を出しに来た。






僕は伊藤が去ったあとも家に居た。

僕たちは何をしているのだろう…。






日曜日になり、僕の家で今日の予定を伊藤が話した。


今日は政治家ムトウさんの演説で活動すると言われた。








会議が終わると電車に乗り、目的地まで移動した。


演説が始まる前なのに人が集まっていた。


僕たちは周囲の人から見られていた。


活動から三カ月で僕たちは有名人になっていた。








演説が始まり、いつも通りに演説のあと、活動をした。


始めに伊藤がムトウさんに質問を投げかけ、終わるとチラシを配り、署名運動をした。


僕たちに賛同者は少ないが、ファンは増えているらしい。


伊藤は一般人に話しかけられている光景を何度も見た。


活動が終わり、僕たちは帰宅した。





何も問題はなかったかのように思えた。





翌日、僕は病院に行った。


今日は混んでいたが時間を気にせず待った。


「神山ミコトさん」とドアの奥から自分を呼ぶ声が聞こえた。


僕はドアを開け、部屋に入る。


「やあ、元気だったかい」


森下先生は僕の方を見ていなかった。







僕は何か嫌な予感がした。









いつもなら、僕の方を見て話すのに今日は違った。
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