才能に目覚めた少年
「…」




「才能が目覚めるとやらなくてはならないことがある。
それは練習だ。
能力が得られたら
何度も何度も練習して身体に覚えさせる。
覚えさせることで能力を使う感覚を得る。
気がつくと能力は自分の物になる。
だから学校では能力の練習をしているんだ。
だが、神山君は能力が目覚めてから一度も能力を使わなかった。
試しにやってみないか」





僕は頷いた。




僕が今まで付けていた腕時計を外した。



先生は僕の指を少しだけ切った。



僕は傷を見た。



血が出ていた。



「さあ、練習だ。能力で再生させてごらん」



僕は何もできなかった。



感覚がまったくわからない。








森下先生は僕の指を消毒してテープを貼った。


「これが現実だ」


僕は今まで皆に能力を隠していたんじゃなく、能力の使い方が分からなかったんだ…


「先生、一つ聞いてもいいですか」


「なんだい」


「本当は僕の能力値はどれぐらいなんですか」







先生は笑顔で言った。




「軽く能力値百を超えている」




「エッ…」





「別に神山君が化け物とか言ってないよ。
そもそも能力値の基準は五百年も前に人によって作られたものだ。
それにかなり前に能力値についての論文が書かれている」




「それはどんなものですか」




「要約すると『想定内の能力値を超える超越者』は存在するだろうっていう内容だよ」







「超越者…」





「そこには面白いことが書かれているんだ。超越者がもし存在した場合の能力の可能性についてだよ」








「どんな可能性ですか」
< 42 / 116 >

この作品をシェア

pagetop