才能に目覚めた少年
病院に着き、御爺さんと別れをした。
受付をして、二十分ほど待つと「神山ミコトさん」とドアの奥から自分を呼ぶ声が聞こえた。
僕はドアを開け、部屋に入った。
「やあ、元気だったかい」
毎度のことだが、森下先生は元気な医者だと思った。
森下ケンイチは僕が子供のころ、事故で両親を亡くしてからの付き合いである。
六十歳を超えているのに元気なところを見るとまだまだ現役を続けられると思わせる。
「はい、先生こそ御元気で」
「まあまあ、緊張せずにリラックスして」
「リラックスしてます」
僕はいつも通りの会話をした。
「そうだね…よし。最近はどうだい。変った事とかあったかい」
「特にないです」
「そうか…んじゃ、時計を見せてくれる」
「はい」
僕は普段身につけている時計を渡した。
時計は能力値測定機能が付いているもので先生は僕の能力値を週に一度確認している。
どうやら、僕の能力値は他の人よりもバランスが悪く値が一定ではないらしい。
先生から借りている時計は最大値のみを検出するものだ。
僕としては興味がないし、使い方も分からないのでただの時計としか思っていない。
「よし…また上がっているね」
「そうですか、どれぐらいですか」
「今は三十だよ」
「そうですか」
上がっていると言ってもその程度なら嬉しくもなかった。
「ところで、能力のほうは使う気になったかい」
「…ありません」
「せっかくの才能を無駄にしたらいけない」
「僕の能力は僕にとっては素晴らしいものかもしれません」
「なら、使わないと…」
「使ったところで将来の職が見つかるわけでもありません」
「んー、困ったな」
森下先生は腕を組み僕をどうすれば説得できるのかを考えていた。
無駄な時間の浪費だというのに。
先生は僕の方を見て考えたことを話した。
受付をして、二十分ほど待つと「神山ミコトさん」とドアの奥から自分を呼ぶ声が聞こえた。
僕はドアを開け、部屋に入った。
「やあ、元気だったかい」
毎度のことだが、森下先生は元気な医者だと思った。
森下ケンイチは僕が子供のころ、事故で両親を亡くしてからの付き合いである。
六十歳を超えているのに元気なところを見るとまだまだ現役を続けられると思わせる。
「はい、先生こそ御元気で」
「まあまあ、緊張せずにリラックスして」
「リラックスしてます」
僕はいつも通りの会話をした。
「そうだね…よし。最近はどうだい。変った事とかあったかい」
「特にないです」
「そうか…んじゃ、時計を見せてくれる」
「はい」
僕は普段身につけている時計を渡した。
時計は能力値測定機能が付いているもので先生は僕の能力値を週に一度確認している。
どうやら、僕の能力値は他の人よりもバランスが悪く値が一定ではないらしい。
先生から借りている時計は最大値のみを検出するものだ。
僕としては興味がないし、使い方も分からないのでただの時計としか思っていない。
「よし…また上がっているね」
「そうですか、どれぐらいですか」
「今は三十だよ」
「そうですか」
上がっていると言ってもその程度なら嬉しくもなかった。
「ところで、能力のほうは使う気になったかい」
「…ありません」
「せっかくの才能を無駄にしたらいけない」
「僕の能力は僕にとっては素晴らしいものかもしれません」
「なら、使わないと…」
「使ったところで将来の職が見つかるわけでもありません」
「んー、困ったな」
森下先生は腕を組み僕をどうすれば説得できるのかを考えていた。
無駄な時間の浪費だというのに。
先生は僕の方を見て考えたことを話した。