才能に目覚めた少年
本の題名
『能力学会研究報告書第四百五十七号』


研究テーマ
『能力開発』


論文
『想定内の能力値を超える超越者と可能性』






本の題名からよくわからない。


読んでいても内容がわからない。


専門用語ばかりで何を言っているのかがさっぱりわからない。


僕は借りて損をしたと思った。






仕方がなく、もう一冊借りた本を読んだ。


分かりやすく書いてあるので借りて良かったと思った。


読んでいて、使えそうなものは手帳サイズのノートに書いた。


忘れないためだ。





僕は気がつくと夜になっていた。


部屋を見渡すと僕しかいなかった。


前までは伊藤、山本、辻本がいた場所なのに今では僕一人の部屋となってしまった。







後悔はしていない。






『C』を辞めることで世間の目を気にすることのない日々を過ごしているのだから…






でも、何か物足りない気がした。






ナナミと付き合うことができたのに、心の中に穴があいていた。



あの時が懐かしく思えた。
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