才能に目覚めた少年
18. 避難
僕たちの国『ヘブン』は人口一億人弱の国であった。


大きさも世界百五十カ国で位十二位の大きさである。


経済も安定しており、技術面に長けているため世界とのバランスもよかった。


戦争をしてもそれなりの武力が国家であった。


国から見ても、世界からみても、平和な国と思われた。


だが、僕たちが行った『C』の活動から『R』、『W』の集団が現れ、現在では『R』を中心に国家に戦争を起こすのではないかといううわさがあった。


『C』の話はあまり聞かなくなった。


『W』はまだ国に来るかもしれないと世間ではニュースになっていた。


ボスが来ているとも知らずに…。






ナナミの言ったことが本当ならば、確かに戦争が起こりそうだ。


戦争というよりはテロに近いだろう。


だがそんなことはどうでもよかった。


僕はナナミが言われたこともあり、逃げられる準備は家にしておいた。







春休みになり、毎日ナナミと会った。


僕はナナミの言っていた休息の時間など考えず、ただ一日一日を楽しんだ。


幸せな時間が流れた。






世界がどうなろうと関係ない。


高校生の僕に力があっても本人が使用しなければ無いのと一緒だ。


戦争が起きようとも使用しなければ『世界を滅ぼす可能性のある人』なんて知られるわけがない。



一般人にまぎれてナナミと戦争が終わるのを待てばいいんだ。




どうせ伊藤だって、山本だって、辻本だって、そうするさ。



それが僕たちなんだ。





たかが五人の力で世界が動くほど世の中甘くないんだ。






僕とナナミは今日もデートをした。


帰りに駅前を通った時、ビルのスクリーンでニュースが流れていた。







僕たちは足を止めて見た。





内容は『R』がテロ行為をして死亡者が五百人亡くなったものだった。





また、国の代表を含む大勢の政治家を人質に立てこもっているものだった。




僕はナナミに聞いた。







「これが戦争…」
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