傷跡
光輝はまた…あの目をしていた。
こんな淋しげな目。
壊れそうなくらい…悲しい目。
あたしはどうしていいか分からなかったけど、光輝の手をそっと握った。
少しでも…
分けてもらえるなら…
その苦しみを。
その悲しみを。
あなたのその過去を。
あたしに分けてほしい。
もう一人で抱え込んでほしくない。
その辛さを…
半分でいいから取り去ってあげたい。
『何で自殺したのって聞いてくるやつとかもいたんだ。何でってめちゃくちゃだろ?でもさ、俺が殺したのかなって思うようになっていって。俺があの時…一人でも球場に入ってたら…親父は死なずにすんだのかなって』
『それは違うよ。光輝のせいなんかじゃないじゃん』
『じゃあ誰のせいなんだよ?誰が親父を殺したんだよ…俺じゃねーか…俺が殺したんだよ!』