傷跡


『とりあえずアースさんに連絡しなきゃね。めちゃくちゃ心配してたんだから』




光輝はあたしにそう言われると、すぐに携帯の電源を入れてアースさんに電話をかけていた。




でも、あんなに心配していたはずのアースさんは、光輝からの電話に、全然驚くこともなく言ったんだって。




『元気か?』



そう一言…優しく言ったみたい。




怒ることも、何をしてたのかも聞かなかったみたいで。



だから光輝は電話を切ったあと…


なんだか少し落ち着きを取り戻していて、ほっとしたような顔をしていた。




光輝がホストになって二年二ヶ月。


初めて無断欠勤したこの数日間。



きっとたくさんのことが
光輝を苦しめ、悩ませ、追い詰めた。


でも…

きっともう大丈夫。



光輝には…


あたしがついてるんだから。





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