傷跡
(ガチャ…)
その時――――
玄関が開く音が聞こえ、パタパタとした足音が聞こえてきた。
『あらっ。光輝くんじゃない。どうしたの?仲直りできたの?』
そう言って帰ってきたのはお母さんで。
あたしと別れたはずの光輝がいることに全然びっくりすることもなく光輝にそう言って普通に話しかけていた。
『あの……すいませんでした!僕が全部悪かったんです。仲直りってゆうかとりあえず杏奈に謝りたくて来たんですけど。もうそろそろ帰るんで…本当にすいません』
光輝が改まったように緊張しながらそう答えると、お母さんはクスッと笑った。
『まぁ何があったかは知らないけど。一年も同棲してたんだから喧嘩なんて仕方ないでしょ。杏奈今日向こうに戻るんでしょ?』
『えっ…あ、あぁ…うん』
『えっ?杏奈帰ってきてくれるの?いいのか?』
戸惑いながらお母さんに返事をしていたあたしに、光輝は目を丸くして驚いていた。
『お父さんにはお母さんから言っておくから。帰ってくるまでにもう行きなさい。二人とも説教されるかもしれないから』
お母さんがからかうように笑ってそう言うと、何故か光輝は突然立ち上がって言ったの。