傷跡
『ねー、そういえばあの女って客なの?聞きたくないけど…気になるから教えてよ』
『えっ…あぁ…客…。クラブのホステスらしい。つーか俺、ほんとにあれは完全な間違いっつーか事故だと思ってるから。ほんと…何の感情もなかったし。お前がいなくなってやけくそになってただけだから』
『ふーん…』
あたしはそう言ってスネたフリをしてみたけど。
ちゃんと分かってたんだ。
光輝にとっては本当に過ちで。
きっと本当に後悔してるって。
だから…もう忘れてあげよう。
『俺…絶対杏奈のこと幸せにするから。もう全部過去のことも整理できたし自分を見つめ直せたから。だから今度は俺が杏奈のために頑張っていくからさ。ずっとそばにいてほしい』
『フフッ、なに真面目な顔してるのー。おなかすかない?なんか作ろっか』
嬉しかったけど。
なんか真面目に答えるのが照れ臭くて。
あたしはキッチンへと向かった。
『え…っつーかお前さぁ、俺が真面目に話してんのにちゃんと聞けよー』
『聞いてるよー』