傷跡



『杏奈!』




歌舞伎町に着くと、分かりやすい場所まで光輝が迎えに来てくれ、お店まで三人で歩きながら向かった。





『今日俺出すから金払わんでいいで』



お店に入る直前、光輝があたし達にそう言ってきた。




『いいって!無理言って来たしセットぐらいなら全然払えるから』


『いいから出すなっつーの』


『でも』


『はいはい、うるさいうるさい』




光輝にそう言われたあたし達は渋々うなずいた。





そして―――


暗い空間に青色の照明が綺麗に映える店内に入ると、黒いスーツに身をまとった人達がたくさんいた。





男前な人や可愛い顔をした人、三枚目系の楽しそうな人、周りを見渡すと、いわゆるイケメンがたくさんいたけど…


あたしはやっぱり光輝が一番だなぁって、惚気かもしれないけどそう思った。




それに、お店にいる時の光輝は少し大人に見える。



暗がりな店内なせいもあってなんだかすごくキレイな顔に見えた。




< 12 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop