傷跡
『泣くなっつーの(笑)とりあえずここ入ろっ。なっ』
光輝はそっとあたしの肩に手を置くと、そのまますぐ近くにあったお店の中へと入った。
『ほんと泣き虫だよなぁお前は』
向かい側に座る光輝は、真っすぐにあたしを見つめながら、笑ってそう言った。
その時ね、
あたしは思ったの。
もっと大人にならなきゃって。
もっとちゃんと…光輝に近づきたいって。
子供みたいに泣いてたって、現実は何も変わらない。
ちゃんと知りたい。
光輝の仕事のこと。
理解したい。
そして…心全部で受け止めたい。