傷跡


『うん!!』」



あたしは元からレギュラーで入るつもりなんてさらさらなかったし。


そんな条件ぐらい平気で飲めた。




『二つめは同伴とアフターは絶対にしないこと。要するに店以外では客と会うなっつーこと』




自分は同伴とかしてるくせに…?


でもまぁ…あたしは別にしたいとも思わなかったし、ちゃんと光輝の言葉にうなずいた。





『で、三つ目はお父さんとお母さんに、ちゃんと自分で夜働くことを話して、許してもらったら俺もオッケーしてやるよ』




一瞬…


自分の顔が引きつった気がした。




『え…それズルくない?絶対ダメって言われるに決まってるじゃん』




あたしがそう言った時、光輝はなんだかフッと笑ったような気がした。



最初からあたしが三つ目の条件を飲めないことを分かっていたんだ。




だったら…やってやろうじゃん。



『じゃあその三つを守ればやっていいんだよね。あたし、その条件守るから』




なんだかムキになっていたあたしがそう言うと、光輝は目を丸くして驚いていた。


『えっ…?あぁ…う、ん』


『やったぁ!これであたしも光輝と同じで働けるんだ♪』




そんな安易な考えで始めることになった

“水商売の世界”。




もちろん一筋縄にはいかず、始めはお父さんもお母さんも反対してきていたけど。



昔から頑固な性格だったあたしは、何度も何度も話をして、最後は渋々許してもらったんだ。


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