傷跡



あたしはその時のアースさんの言葉の意味を、まだちゃんと理解できていなかった。



でも―――


少しずつその意味が分かっていくようになる。






初めて光輝のお店に行った日から一ヶ月。


あたしはあれ以来お店には行っていなかった。



光輝はアースさんの家に、他のホスト二人と転がりこんで共同生活をしていた。



そんなすれ違いの毎日の中でも、唯一の救いは朝、光輝が電話で起こしてくれることだった。



毎朝8時頃、光輝は毎日電話をしてくれた。





光輝にとってはモーニングコール兼おやすみコール。


電話を切る時はいつも決まって『おやすみ』だった。



でもギリギリうまくいってた付き合って八ヵ月がたつ頃、状況が変わってくる。



朝の電話も途切れるようになり、日曜も会ってる間ずっと寝てることが多くなった。


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