傷跡
一瞬…
あたしは本気でブチギレそうになったけど。
でも、冷静にならなきゃいけない。
だってここは…
光輝が働くお店の中なんだから。
そう思って溢れてくる怒りの感情を必死で押さえ込んだ。
『ルイ…もしかして光輝のこと好きになったの?そんなわけないよね?』
『えっ?何でそんなわけないって言い切れるの?』
『だって光輝は…』
『そうそう、杏奈の彼氏だもんね。でもね、関係ないよ、そんなの。だってあたし好きになっちゃったんだもん』
『えっ?』
『えっ?』
『えっ…』
あたしと光輝と、近くにいた翼。
その三人の声が、この時重なるように揃っていた。
好きになっちゃったんだもん…?