傷跡
『一目惚れなの。光輝くんに初めて合った瞬間から、好きになっちゃってた。別にさ、杏奈から奪う気なんてないよ。ただ…人を好きになるのに順番とかルールとか関係ないじゃん』
確かに人が人を好きになるのは自由だよ?
でも、最低限の恋のルールってあるでしょ?
呆れて言葉が出てこなかった…。
ルイって…
こんな子だったんだ…。
そう思うと少しショックだったりもして。
『ちょっと外に出て話さない?ここだと周りの目もあるし』
周りからの視線が気になって…あたしはルイにそう言うと、その場からゆっくりと立ち上がった。
『ちょっと待てよ』
でも、光輝にそう言って手を引っ張られて。
その場にまた座らされたんだ。
『ごめんねルイちゃん。気持ちは嬉しいんだけど。杏奈とは付き合って長いし…こいつは本当に大切な女なんだ。だからこれからもずっと付き合っていくつもりだし俺はルイちゃんのことは杏奈の友達としてしか見れない。だから…ごめんね』
えっ…?
あたしは、光輝がルイにハッキリと言ったそんな言葉に、ビックリして口が開いたままだった。
こんなにキッパリと…
あたしの目の前で言ってくれるなんて。
なんか意外だったから。