傷跡
『直接告ってもいないのに勝手にフラないでよ。あたし別に付き合いたいとか杏奈から奪いたいとか考えてたわけじゃないよ。何で好きでいちゃだめなの?好きになるのはあたしの自由でしょう?』
ルイはそう言うと、今にも泣きそうな顔で、光輝をジッと見つめていた。
『ルイちゃんみたいな子だったらもっと他にいい男いるよ。それにSEASONでの杏奈との関係もあるだろ?だからハッキリさせておきたくてさ。こいつすぐ不安になるようなタイプだから』
光輝はそう言うと、あたしの頭に優しく手を置いて、髪をくしゃくしゃっとしてきた。
『訳わかんないし。杏奈と付き合ってきた時間が長いのは知ってるよ?でも恋に時間なんて関係ないじゃん。あたしは好きなものは好きだし気持ちなんて簡単に変わらないんだから!』
ルイは声を荒げてそう言うと、怒ってお店を飛び出して行った。
簡単に変わらないってさぁ…
ルイは光輝と…まだ出会って半月やそこらだよ?
そんなに日も立たないうちに、そんなに深く好きになるものなの?
あたしには、ルイの気持ちが全然理解できなかった。