傷跡
『もう帰る…』
あたしはそう言って席を立つと、勇二くんを残したまま一人で勝手に居酒屋を出た。
そしてそのまま帰るつもりだったのに…
気付けば足は止まってて。
光輝のお店の方向へと向かってしまっていた。
『アン!』
そんなあたしを、勇二くんは追いかけてきていて。
『どこ行くんだよ?光輝のとこか?だったら俺もついてってやるから。ルイに店で嫌がらせされてた話とか、光輝には何も話してなかったんだろ?もう何も我慢することないじゃん。俺が全部話してやるよ』
勇二くんはそう言ってくれたけど。
気持ちは嬉しかったけど。
お店でも味方は勇二君だけだったし、ずっと愚痴を聞いてくれる唯一の人だったけど。
でもこれは…
あたし達の問題。
だからこれ以上迷惑かけれない。