傷跡
でも……
店を飛び出したあたしの耳には…そんな声が聞こえてきて。
ふと顔を上げると…
勇二くんの姿があたしの視界に映っていった。
『何で?帰ったんじゃ…なかったの?』
震えるような声であたしがそう言うと、勇二くんはあたしのすぐそばまで駆け寄ってきた。
『何で泣いてんだよ!アン?何かあったのか?』
勇二くんは…
ちゃんとあたしの話を聞いてくれようとする。
でも…光輝は違う。
咲夜くんとの熾烈なナンバー争いのせいで…
今の光輝は完全に心までホストになってしまってる。
自分のことだけでいっぱいになってしまってるから。
『もう全部やだ…何もかも嫌…』
あたしが漏れてくる泣き声を抑えながらそう言うと…
いきなり勇二くんがそんなあたしを抱きしめた。