傷跡



『お前何してんだよ』




でも……

その時、そんなあたし達の後方から、冷たい…低い光輝の声がした。




光輝に気付いたあたしは、勇二くんからすぐに体を離し、近付いてくる光輝をジッと見ていた。




『ったく何なんだよお前ら。勇二…お前さぁ、杏奈に気ぃあんのか?わざわざこんなとこまで来て。なぁ?つーか杏奈が勇二を呼んだのか?黙ってないで答えろよ』




あたしを見つめる…冷たい目。


きっと光輝は何かを勘違いしてて。

怒ってるんだ。





『勇二くんは関係ないから。偶然ここを通りがかっただけだよ?ってゆーか…もう光輝には関係ないじゃん。ほっといてよ!』




あたしが冷めたような声で光輝にそう言うと、光輝はいきなりそばにいた勇二くんを突き飛ばしていた。




『偶然通りがかった?っざけなんよ…お前やっぱり杏奈に気があるんだろ?』




吐き捨てるように…

光輝は勇二くんを攻め立てていく。




『おい光輝…そんなわけねーじゃ…』


『あぁ?本当のこと言えよ!お前男だろーが!』




街中に響き渡る光輝の怒鳴り声。


行き交う人達も足を止めて…何があったのかと騒ぎ立てていく。




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