傷跡
『大丈夫か?』
『あ……うん』
『ごめん…俺余計なことしちゃったよなぁ…本当…マジでごめん』
勇二くんはそう言って、あたしに何度も謝って来た。
『何で勇二くんが謝るの?謝らなきゃいけないのはあたしのほうだよ…。ごめんね変なことに巻き込んでしまって…』
勇二くんと光輝は…
仲のいい友達だったのに…
あたしのせいでこんなことになってしまって…。
『気にすんなって。光輝はちょっと今おかしくなってるだけだから。この世界で一度ナンバーワンになってしまった人間は…転落が怖いんだろうな。だから必死でその頂点を守ろうとするんだ。でもさ、俺はあいつが嫌いだから喧嘩したわけじゃねーし。あいつのいいところはいっぱい知ってる。それはアンも一緒だろ?』
いいところ…か。
知ってるよ。
いっぱい知ってる。
ずっと一緒にいたんだもん。
知り過ぎてるくらい分かってる。
『でも…もう別れるよ。一回ちゃんと距離を置いて考えたいんだ。ルイのことだけは…やっぱりどう考えても納得なんてできないから』