傷跡
『それは光輝の誤解だよ?』
『うん、分かってる、勇二から聞いてるから』
陽翔はそう言うと、真面目な顔であたしにまた話を始めたんだ。
『俺もさ。昔は…本気で好きになった女がいたんだ。もう結婚しちゃったんだけどさ』
なんだか陽翔は思い出したくないことを思い出しているような…切ない顔をしながら、あたしにそう言った。
『ちょうどホストを始めた頃から付き合い始めた子だったんだ。俺とは全然違って普通の仕事してる子で』
『うん…』
『でもいつも不安そうで。なんかヤキモチばっか妬かれて。だからあいつも水商売始めて』
話を聞いていくごどに、自分と陽翔の昔の彼女が…シンクロしていくような気がした。
あたしも不安だった。
ヤキモチも焼いた。
そして……
この世界に足を踏み入れた。