傷跡
『信じれるわけないじゃん!!』
『ちょっと待てよ!全部お前とのこれからのためじゃん。マンションの契約にも金いるし。っつーか色なんか当たり前にある世界なんだから』
…当たり前?
そういう風に人に嘘をつくことが当たり前?
あたしはこの時、初めて光輝に対して不信感をもった。
『杏奈のためって何?そんなことしてまでお金作ってマンション契約なんてあたしは望んでない。あたしは…光輝と一緒にいれるだけでいいのに…そんなことしてまで同棲なんてしたくな…』
途中で声が出なくなった。
悲しくて。
悔しくて。
寂しくて。
光輝がどんどん変わっていく。
悪い悪魔のように…変貌を遂げていく。
涙が止まらなかった。
もう一緒には…いられない。