傷跡
『後悔しても遅いけどさ。でも俺が…幸せにしたかったんだ。だって去年見た時さ…あいつ超幸せそうな顔してて。ニコーって笑いながらスゲー楽しそうな顔で歩いてて』
離れていった彼女の存在。
いなくなって初めて気付いた大切さ。
でも、陽翔は気付くのが遅すぎたんだ。
彼女が離れていく前にちゃんと気持ちに気付いてあげられていたら…
何かが変わっていたかもしれないのに。
『でもさ、幸せでいてくれただけで良かったじゃん。笑ってる顔を見られただけでも嬉しかったんでしょ?』
『まぁな……』
『じゃあ陽翔くんもさ、もう過去のことは早く忘れて新しい幸せ見つけなよ。多分思ってるよ、その子。陽翔くんには幸せになってほしいってきっとその子が一番思ってると思う』
『あいつが?』
フフッと笑った陽翔の顔を見ながら、あたしは小さく頷いた。