傷跡



やっぱりルイか……




『でもさ…お前はずっと俺の連絡無視だったし。勇二もあれ以来電話もしてこなかったからさ。だから…ルイにお前達が付き合ったって聞いたら…なんかそれ聞き入れちゃって』





光輝は馬鹿だよ。


何でルイのそんな言葉を鵜呑みにできたんだろう。



何であたしを…信じられなかったんだろうね。




『あたし達が付き合う訳ないじゃん。あたしが違うって言っても光輝は今も信じらんない?』



『いや…っつーか…なんか俺、情けねーよ。ちゃんと考えたら分かることだったのに。あるわけねーよな…そんなこと』





光輝はそう言うと、寂しげな顔で一瞬フッと笑みを浮かべた。





『もう朝だね』




まだ騒がしい歌舞伎町の街中で、あたしはふと空を見上げた。



朝日が優しく…

あたし達を照らしていて。



なんだか暖かい空気に包まれているような気持ちになった。



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