傷跡



『ねぇ光輝。ルイに…子供がいることは知ってるの?』




確かめたい。



それだけは…ちゃんと確かめなきゃ。





『子供?』


『うん……』


『ルイに子供がいるっていうのか?』


『知らなかっ……た?』





あたしの言葉を聞いた光輝は、信じられない顔であたしを見つめていた。





『でもあいつ一人暮らししてるって言ってたし…それに昼間は風俗で夜はキャバクラで。子供なんかいるわけないじゃん。誰が面倒見るんだよ』


『確かにね……でも陽翔くんから聞いたんだ。シングルマザーなのに子供を育児放棄して…自分の親に育てさせて自分は自由に遊び回ってるって』


『マジかよ……』





光輝はそう言うと、ギュッと自分の手をにぎりしめていた。



光輝は知らなかったんだ。



そうだよね。


もし知ってたら…


きっと光輝はルイにちゃんと話をしてくれてたよね?




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