傷跡
『売上下がって給料もガンガン下がっても文句言うなよ…』
光輝はそう言うと、フフッとあたしを見てニッコリ微笑んだ。
『光輝?じゃあ…』
『うん、もう色営業はやめる。なんか分かんねーけどさ、さっき杏奈に親父のこと言われたら…なんか久しぶりに親父の顔が浮かんで。そしたら俺何やってんだろって。なんかちっせーなって思えてさ』
光輝のその言葉を聞いていたあたしの目の前は、涙で少しずつ滲んでいった。
やっぱり光輝にとって、お父さんの存在は一番大きくて。
あたしが何度言ってもダメだったのに…お父さんの存在は…光輝をこうして変えてくれた。
そう考えると、少し光輝のお父さんにヤキモチやいちゃったけど。
でも同時に…お父さんに感謝もした。
力を貸してくれて…ありがとうございましたって。