傷跡
『ねぇ、誕生日はさ…光輝のお父さんのお墓参りに行かない?』
少ししんみりした雰囲気になっていた光輝にあたしは明るくそう言った。
光輝のお父さんが眠るお墓は、光輝が生まれた町にあって。
隣町には光輝が小中高の学生時代を過ごした施設もあると聞いていたから。
あたしは一度も行ったことがなかったし、見て見たかったんだ。
光輝の生まれた場所、育った場所に。
『何で誕生日に墓参りなんだよ』
光輝はそう言って笑っていたけど。
『別にいいじゃん、あたしの誕生日なんだからあたしが行きたい場所に連れていってよ』
『マジで言ってんの?まぁ…確かに杏奈の誕生日だし。別に俺はいいけど。お前のことも親父に紹介しなきゃいけないしな。よしっ、じゃあ来週の誕生日は昼間に墓参りか』
あたしがそうお願いすると、光輝はそう言って、あたしの頭に手を置きながらて、頭をポンポンと優しく撫でた。