傷跡
『ねぇどれくらいで着くの?遠い?』
『うーん…一時間半とか二時間くらいじゃね?』
出掛ける用意を終えて到着地のナビを合わせると、運転席に座る光輝がゆっくりと車を発進させる。
『眠かったら寝てていいぞ』
『大丈夫だよ』
そんな会話をしながらあたしは窓の外の景色を見つめた。
天気も絶好によくて。
太陽がまぶしいぐらい。
二人でどこかに出掛けるなんて久しぶりで。
なんだか嬉しかった。
ただこうして光輝の隣にいるだけで幸せ。
色々あったし…
いっぱい嫌な想いや辛い想いもしたけど。
だからこそ、今こうして…こんな幸せを感じることができるんだよね。