傷跡
『ねぇ…誰か来てたのかな?』
お墓の前には、まだついたままの線香と新しいお花が供えられていて。
ついさっきまで誰かがお参りに来ていたような雰囲気だった。
『ほんとだ。誰だろ?親父の兄貴のおじさんかな?』
そんな話をしながら、あたし達も花を飾ってお墓回りを掃除して。
そして二人で線香をあげるとお墓の前で静かに手を合わせた。
お父さん聞こえてますか?
光輝はこんなに大きく立派になってます。
だから安心して下さい。
あたしが一生光輝のこと、何があっても支えていきます。
お父さんができなかったたくさんのこと…光輝にしていきますから。
だから…
ずっと見守っていて下さいね。
心の中で、あたしは光輝のお父さんにそう語りかけた。