傷跡



『ねぇ…誰か来てたのかな?』



お墓の前には、まだついたままの線香と新しいお花が供えられていて。


ついさっきまで誰かがお参りに来ていたような雰囲気だった。



『ほんとだ。誰だろ?親父の兄貴のおじさんかな?』




そんな話をしながら、あたし達も花を飾ってお墓回りを掃除して。


そして二人で線香をあげるとお墓の前で静かに手を合わせた。




お父さん聞こえてますか?


光輝はこんなに大きく立派になってます。
だから安心して下さい。
あたしが一生光輝のこと、何があっても支えていきます。
お父さんができなかったたくさんのこと…光輝にしていきますから。
だから…
ずっと見守っていて下さいね。




心の中で、あたしは光輝のお父さんにそう語りかけた。

< 314 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop