傷跡
するとその時………
全く吹いてもいなかった風が、一瞬だけ強く吹いて…
あたしの髪の毛をフワッと靡かせた。
もしかして…
聞いていてくれてたのかな?
ありえないことだけど…
でもなんとなくそんな気がしたんだ。
お父さんが返事をしてくれたようなそんな気が。
『親父ー!元気かー?今日は彼女連れて来たんだ。俺、いつかは分かんねーけど絶対こいつと結婚する。だからその時はまた報告しに来るからさ。待ってろよ』
光輝はお墓を見ながらそう言って手を合わせていた。
その顔は…
なんだか本当にお父さんに話してるみたいに見えて。
すごく優しい穏やかな顔をしていた。