傷跡
『はい……』
光輝のお母さんはそんなあたしに、小さな声でそう返事をしてくれた。
『あのっ…すいませんあたし、工藤杏奈といいます。あの…』
『光輝の彼女ですよね?』
なんだか焦ってアタフタしていたあたしに、光輝のお母さんがそう聞いてきた。
『あ、はい…』
『あの……私が言える立場ではないことは重々承知なんですけど…あの子のこと、よろしくお願いします』
光輝のお母さんはそう言うと、あたしに深々とお辞儀をした。