傷跡



『えっ…あぁ……はい…』




なんだか戸惑いながらも、あたしはとりあえずそう答えた。




『あのっ……光輝と話さなくていいんですか?』


『えぇ……あの子は私なんかと話したくないと思うから』


『でも…差し出がましいとは思いますが…やっぱりちゃんと話すべきだと思います。過去に何があったのかは聞いてます。でもこうしてお父さんのお墓参りに来てくれてるってことは過去にしたことを償うつもりがあるからですよね?』


『……ごめんなさい…』




光輝のお母さんは、ただそう言って…

あたしに頭を下げ続けていた。




きっとお母さんも…

過去の自分を悔やんでいるんだ。



じゃなきゃこんなところまで…来れるわけないよね。



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