傷跡



『これ、俺の名刺だから。また東京来ることあったら連絡して。じゃあ……』





光輝はそう言うとまた一人で先に歩いて行ってしまった。




あたしはそんな光輝を追いかけようとお母さんにペコッとお辞儀をすると急いで光輝のあとを追った。




「あのっ…」



でもその時、お母さんにそう呼び止められて。



『杏奈さんでしたっけ?』


『はい』


『ありがとうございました。光輝…変わりましたね。前に富山に来た時はあんなに穏やかな顔してなかったんです。変わったのは多分…杏奈さんのおかげです…。光輝を支えてくれてありがとう。これからもあの子をよろしくお願いします』





あたしにそう言ったお母さんの顔は、息子を思う普通の母親の顔だった。



やっぱり親は、いつまでもずっと…親なんだよね。





『はいっ。また東京に来た時は光輝に連絡して下さい。少しずつかもしれないけどちゃんと親子に戻れると思うんで。じゃあ行きますね』



あたしはそう言うと、急いで光輝のもとへと走っていった。




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