傷跡



『ごめんね』




先に車に乗り込んでいた光輝に、戻ってすぐにそう言って謝った。




『ほんとおせっかいだよなぁ』



でもそう言った光輝はフフッと笑っていて。



『でも…ありがとな』



そして助手席に座るあたしを、隣から優しく抱きしめてくれたんだ。




『お前がいて…ほんとによかった』




耳元で聞こえる光輝の声はすごく穏やかな声で。


あたしはゆっくりと目を閉じた。





生きていたらいろんなことがあるけど。



そのどれもが、ちゃんと未来へと繋がってる。




だから過去は…


未来へのステップなんだよね。




幸せになるための…


ステップなんだ。




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