傷跡
そっとカードを開く。
杏奈へ。
そう綴られて始まる文字を見つめながら、なんだか初めての出来事に胸がいっぱいになっていった。
誕生日おめでとう。
実は指輪は前にあげてたからプレゼント何にしようか悩んだんだけどさ。
これは杏奈にすっげー似合いそうだったから。
だからもらってください。
ずっとさ。
これからもずっと。
こうして杏奈の誕生日を祝っていけるといいな。
光輝…
これ、自分の手で書いてくれたの?
絶対こうゆうことしてくれない人だと思ってたのに…
『光輝ぃ……』
あたしは我慢できず、寝ている光輝に思いっきり抱きついた。
『もうちょっと寝かせて…』
でも光輝は寝ぼけたままそう言うと、また眠りについていく。