傷跡
『明日もバイトあるしもう帰るね』
なんだかキツイ視線に耐えられなくなり、光輝にそう言うとそのまま一緒に席を立ち、あたし達はお店を出た。
『もういいよ?早く戻ってあげて。お客さんいっぱい来てるんでしょ?』
エレベーターを降りてもあたしの隣を歩き続ける光輝にそう言うと、光輝は言ったんだ。
『あの通りまで一緒に行くから。タクシー乗せるまで心配だし』
光輝はそう言うとあたしの隣にピタッとくっついたまま歩き続けた。
そしてタクシーを拾ってくれると、あたしに一万円を渡してタクシーへと乗せた。
『○○まで』
そして行き先を告げると、タクシーのドアはゆっくりと閉まり、走り出していく。
あたしは何度も何度も後ろを振り返る。
だって光輝は、見えなくなるまでずっと見送ってくれていたから。