傷跡
とりあえず光輝が電気やガスの契約をし、すぐにでも住める環境の用意を整えていく。
そして―――
『杏奈の荷物取りに行こうか。なんかこうなったら来週まで待てないし…もう今日からずっと一緒にいたいからさ。ちゃんと挨拶もしておかなきゃいけないし』
『うん!まぁ荷物って言っても服とかそんなもんしかないけど』
嬉しくて声が弾んでいく。
『荷物取りに行ったついでに帰りに家具とか電化製品も見よう。俺かなり金貯めてたから保証金とか払ってもめちゃくちゃ残ってるし』
そして…
レンタカーを借りたあたし達は、家に連絡をするとそのままのあたしの実家に向かった。
この日は日曜日ってこともあったし、家ではお父さんとお母さんが待ってくれていた。
うちの家は普通の家庭。
平凡な普通な両親と、もう結婚している歳の離れたお姉ちゃん、年子の弟の五人家族。
光輝と付き合っていることは家族みんなが知っていたし、お父さんもお母さんも光輝がホストだと知っても何も言わなかった。