傷跡
だけど…
この時からすでに、あたしは光輝の笑顔の裏側にある何かに、少しだけ気付いていたのかもしれない。
優しそうに笑う顔。
楽しそうに話す声。
でも光輝には…なんか不思議な影があったんだ。
時々ふと、悲しそうな…壊れそうな寂しげな顔をする。
初めて会った時から…
ずっとそれが気になっていたのかもしれない。
明るそうな表向きのイメージとは違って、歌う曲も淋しげなバラードばかり。
なんだかあたしは…
そんな光輝に吸い寄せられるようにひかれていった。