傷跡
水商売に慣れ、味をしめ、そこに浸かりつつある光輝は少しずつ嫌な男に変貌をとげていく。
そしてあたしとそんな光輝の間には見えない深い深い溝ができていった。
光輝は二日帰って来ない日があったり、帰ってきても一言も話さない日があったり。
あたしも、こんな状態で一緒にいる意味があるのかと疑問を抱くようになっていく。
ちゃんと向き合おうと話をしてみても、何か言えばケンカになり、まともに話すことすらなくなっていった。
それでもあたしは…
嫌いにはなれなかった。
優しかった頃の光輝の面影だけをずっと支えに我慢してた。
その頃もずっと光輝はナンバーワン。
雑誌やテレビなんかにも出るようにもなっていた。
そんな光輝の飛躍とは裏腹に、あたし達の距離はどんどんどんどん開いていく。