傷跡


でもそんな私の気持ちや期待すら、光輝には全く伝わっていなかったんだ。



あっけなく終わっていく大切な記念日。



きっと…もうダメなんだろうな…



あたしも本当は気付いてたんだ。



こんな思いをしながら一緒にいる意味なんてないことは。



もう…疲れた…。




二年目の記念日の翌日、あたしはこの家を出ることに決め、誰もいない静かな部屋で、自分の荷物をまとめていった。




たいしたものはない。


そう思っていたけど。



一年で増えた物は多すぎて、とにかく必要な物を持てるだけ袋につめて実家に戻ることにした。




本当は心のどこかで期待していたんだと思う。


出て行ったあたしに気付いた光輝は…


すぐに迎えに来てくれるだろうって。




でもそんなあたしの淡い期待も、悲しいぐらいに崩れていく。




待っても待っても。



いくら待っても。



電話もメールもこなくて。




結局一週間が過ぎても…


光輝からは何も連絡がなかったんだ。




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